医療機器を修理するなんて大層な資格が必要でしょ?
こんな疑問にお答えします。
「医療機器を整備する」というと一見非常に責任重大な行為です。権威ある国家資格が必要では?と思われるかもしれません。しかし実のところ言うと、最低限一つ持っておけば医療機器のサービスエンジニアとして働けます。
この記事では必要になる資格の解説と、就業時に受講する講習、その他現役サービスエンジニアである私が持っている資格について解説していきます。
メーカーのサービスエンジニアが医療機器を整備する為に公的な資格は存在しない
以外かもしれませんが、医療機器を整備するにはサービスエンジニアに公的な資格は存在しません。
自動車を整備するには自動車整備士の様にれっきとした資格が必要な資格はあります。
しかし、医療機器を整備するには必要な資格は存在せ図、後述する”医療機器修理技術者講習”を代表者が持っていれば問題なく、個人に必要な資格は運転運転免許証があれば十分です。
医療機器サービスエンジニアに必要なのは『自動車運転免許』
えっそれだけ?
客先に出向く仕事が多いサービスエンジニア。部品を用いての修理や、代替品を持ち込んでの入替、定期点検で訪問等を考えると運転免許は必須です。
また、医療機器のサービスエンジニアは営業と同じ様に転勤することが多い職業です。地方配属になった場合運転免許が必須なのは言うまでもありません。
- 拠点が東京にしかなく、移動が公共交通機関のみ。
- 取扱い機器が小型で輸送が簡易な場合。
- オペレーター業務で社外に出ることがない場合。
メーカー在籍後に受ける”医療機器修理責任技術者基礎講習”
漢字が並んでて読むのに苦労しますが、「修理責任技術者基礎」と略されています。受講に約50,000円が必要ですが大抵は会社経費です。
取得する理由は”自治体への届出に必要”
企業が医療機器を修理するには自治体に届出が必要だからです。この届出には代表者を設定する必要があります。
この代表者は基礎講習を受けていれば”非”特定管理医療機器の修理を行えますが、特定管理医療機器を修理するには後述の”医療機器修理責任技術者専門講習”の受講が必要です。
受講には制限があり、業界未経験者は受けられない。
受講資格は以下の通りです。
医療機器修理業の業許可を受けている事業所(製造業の業許可及び登録を含む)において、医療機器の修理(製造を含む)に関する業務に3年以上従事した者であること。
※証明元の事業所が医療機器の修理業の許可又は製造業の許可及び登録[ただし修理業の特例の適用を受けない製造業を除く(医療機器の製造工程のうち設計又は最終製品の保管)]を受けており、3年以上従事している場合のみ、受講資格を満たすこととなります(許可・登録を受けていない期間・事業所は対象外です)。
なお、従事年数証明書に虚偽の記載または間違えて記載し従事年数不足があった場合は、仮に講習を修了したとしても、その資格は無効となります。
また、「3年以上の従事期間」は、修理業の許可(又は製造業の許可及び登録)を受けている複数の業態又は事業所における従事の期間を通算して計算しても構いません。
講習会・試験等 令和4年度 医療機器修理責任技術者基礎講習会 (jaame.or.jp)
要点を絞って説明すると「転職しててもいいから、修理業許可をとった事業所でトータル3年間働いたことを証明出来れば受講資格はあるよ」と言うことです。
講習会の詳細カリキュラムは2日間。難易度はそこまで難しくない。
カリキュラムは2日間で行われ、初日は10:00〜17:20、2日目は9:30〜16:00でみっちり講習を受けます。
実技試験無しの座学のみの講習になります。最後にペーパーテストを行い、後日に合格通知が届く流れです。
講師は主に大規模な大学病院に所属されている臨床工学技士の教授や、主催の公益財団法人医療機器センターの方々から受けます。
話の内容も結構興味深かったり、違う医療機器の実情も聞けて面白かったですよ。
テストの難易度も講義を聞いていれば簡単に答えられるものばかりですし、私の周りでも落ちた人を見たことが無いぐらいです。
実際のテキストと修了証
受講した時のテキストと修了証、受講票が手元に残っていたので参考までに。(几帳面なもので。。。)
因みにテキストは講習、実務共にほぼ使いません。
特定保守管理医療機器の修理に必要な”医療機器修理責任技術者専門講習”
同じように漢字が多いので「8区分」と呼んでいます。この講習は医療機器の用途や種別に分けて以下の通り8種類の講習があります。
- 第1区分 画像診断システム関連
- 第2区分 生体現象計測・監視システム関連
- 第3区分 治療用・施設用機器関連
- 第4区分 人工臓器関連
- 第5区分 光学機器関連
- 第6区分 理学療法用機器関連
- 第7区分 歯科用機器関連
- 第8区分 検体検査用機器関連
前述しました通り、代表者が該当する区分を受講しすることで初めて特定医療機器修理業の許可を得ることができます。
基礎講習の内容と代わり、より専門的な分野に絞った講座になります。
受講制限【基礎講習と同時受講可】
受講資格は以下の通りです。
医療機器修理業の業許可を受けている事業所(製造業の業許可及び登録を含む)において、医療機器の修理に関する業務に3年以上従事した後、医薬品医療機器等法施行規則第188条第一号イ及び第二号イに基づく基礎講習を修了した者であること。
(注)
1.公益財団法人医療機器センターが実施する「令和4年度医療機器修理責任技術者基礎講習」修了見込者も受講の対象となりますので基礎講習申込みと同時にお申し込みください。
2.本講習会は新たに資格取得を目的とされる方を対象としています。過去に本講習を受講し、既に修了証をお持ちの講習区分は再度受講する必要はありません。
講習会・試験等 令和4年度 医療機器修理責任技術者専門講習会 (jaame.or.jp)
つまり、基礎講習と同時に受けても良いし、過去に基礎講習を受講していれば受講資格を持っていることになります。
この講習を受ける理由は昇進?
実際のところは”転勤が近い”のシグナルの可能性が高いです。
転勤先の地域で修理業の許可を得るには、代表となる従業員が8区分を修了している必要があるからです。
私は関東から離れたくないので、忙しいことを理由に8区分を取っていません!
医療機器サービスエンジニアの就職にオススメな資格
これまで説明した通り医療機器を整備するのに直接的に関わる資格はありません。医療機器メーカーに所属し、どの様な働きた方をしたいかで必要な資格が変わります。
確かに英語検定や電気工事士、危険物取扱等持っていると目を引くかもしれません。しかし、その資格が活きるかと言えばそうではありません。
- 英語が出来ても内資企業に就職した場合、活きるシチュエーションはほぼありません。今の時代はGoogle翻訳とDeepLがあればテキストやマニュアルは読めます。
- 電気工事士を持っていたって客先のコンセントに手を加えることもありません。病院は専門的なスタッフで建物を管理されております。
- 医療機関によっては有毒なエチレンガス等で滅菌をしますが、滅菌関係の分野で働くわけで無いなら危険物取扱いの知識は必要ありません。
どの様な会社、どの様に活躍したいかをイメージして下さい。自ずとどの様な資格が必要になってくるかわかるはずです。
サービスエンジニアの仕事の幅は広く、持っている資格一つで活躍の幅は大きく変わります。
因みに筆者は普通自動車運転免許以外はどうでもいい資格しか持ってません。
近年では外資系ヘルステック企業が伸びてきてます。英語への勉強に抵抗がなければTOEICの高得点を獲得し、外資系企業へ選択肢を広げるのもオススメしたいです。
外資企業所属してるのに英語力皆無なのによく言うよ・・・
え、英語できなくても仕事できるから・・・
まとめ
医療機器サービスエンジニアに求められる資格と在籍中に求められる資格、オススメな資格について解説しました。
- 以上の通り、就職活動時には”普通自動車運転免許”を持っていれば大丈夫。
- 専門的な講習は在籍後3年経過してから。
- ”医療機器修理責任技術者基礎講習”と”医療機器修理責任技術者専門講習”がある。
- 受講に必要な費用は会社負担してもらえることがほとんど。
- 8区分を受ける指示があったら転勤が近い可能性あり?
- オススメな資格は自分が働きたい姿を想像し、その姿にマッチした資格を取ろう。