サービスエンジニアとして早く一人前になりたい!
そんな願いの手助けになるかもしれないトレーニング法について解説します。
フィールドサービスエンジニアとして働く上で、最初の1年は地獄の期間です。
未経験の状態から接客と機器の修理なんて経験を得る機会がなく、即戦力として働ける事はほぼありません。接する顧客が違えば、扱う商材の特性も大きく変わります。
入社直後は先輩社員と同行し、診て仕事を覚える機会が多い期間。先輩社員それぞれ切り口や持つスキル、アプローチ方法が違います。
私自身6社転々とし、6回下っ端を経験してきました。何度も新しい職場でバカにされ悔しい思いをしてきました。
そんな私が如何に早く即戦力として働けるか、と言う私が実践してきた代表的な手法ケーススタディについて解説します。
この記事を読んだ方が少しでも早く一人前になることが出来れば嬉しいです。
最も有効な手段はチームで共有された情報にアクセスする”ケーススタディ”
ケーススタディとは以下のような意味です。
ケーススタディー(英: case study)は、日本語に訳すと事例研究となる。社会科学では、すべての事象を網羅することができない場合に一つまたは複数の事例を取り上げて、推論が当てはまっているか、傾向が確認できるかを確かめる。人文科学でも、すべての事象を網羅することができない場合に、一つまたは複数の事例を取り上げる。ある仮説が成り立たないことを示すには、反例一つでよいが、仮説が成り立つことを示す場合に、どれだけの事例を示せばよいかは対象領域の制約条件による。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ケーススタディー
今はチーム内で対処した事例が確認しやすい環境になっている。
現地で修理した履歴や、コールセンターの問合せ内容は、全て企業のデータベースに修理履歴として登録することが一般的になっています。
インフラが整った企業なら、基幹システムを用いて客先に提出する報告書が作れる様になっている事もありますね。
昔は全部紙だったから確認するのがホント大変・・・
修理履歴の登録作業は手間が多く、面倒な入力作業で、ただ無駄な内勤作業と認識されがちです。
しかし、私からすれば能力開発のノウハウが詰まった価値あるデータベースです。問合せからどの様に解決に至ったか。人それぞれが持つ経験や切り口がギュッと詰まった情報であるからです。
効果的に読む事で「他者が経験した修理作業を自分のモノにする」事ができるのです。
ケーススタディーの実際の手順。
自らの経験に落とし込むには少々コツが必要です。流し読みしてしまっては勿体無い!
オススメの読み方は以下の通りです。
基幹システム次第になりますが、まずは問合せ内容や事例の主題、エラー内容等のみ目を通します。
ここですぐ解決策や、対処例を読んでしまっては意味がありませんのでご注意ください。
解決が容易な問合せが多いかと思います。しかし、厄介な修理、何を言っているか良く分からない問合せチンプンカンプンな問合せが一番勉強になります。
顧客が何を言っているかを想像し、汲み取る能力が試される機会になります。
ここで正解 / 不正解に価値はありません。
解決に至った道筋や、修理部品を元に何故直ったかを考えるのも勉強になります。
時より、実際の作業者に確認する事で「何故解決に至ったか」がより深掘りして学べるかもしれません。
ケーススタディーから得られる”疑似経験”と”汲み取り力”は自身の応用力を高める。
問合せ内容から「顧客が何を伝えたいのか」を理解するには、”意図を汲み取る力”が求められます。顧客の意図を汲み取り、解決までを想像し、疑似体験するケーススタディは短時間で自身の能力を高める事につながります。
ここで重要なのは疑似体験することで学びがあると言うこと。正解不正解は重要ではなく、プラスしかないメソッドです。
- 答え合わせをした時に正解すれば「間違ってなかったんだな」と自信に繋がります。
- 間違っていれば「この視点は無かったな・・・気をつけよう」と勉強になります。
- 「あれ、コレ間違ったことしているのでは?」と疑問に思う事があります。そう言った場合に同僚と相談し合う事でお互いのスキルアップに繋がります。
有効な学習法だが注意点も。
極力経験が浅い若手や後輩にもやらせたいこの手法ですが、私は直接的にオススメしていません。
「何故やるのか」をしっかり理解してなければただポチポチ画面を眺めているだけになってしまうからです。
この方法を実践しているのは職人気質な業種だからこそ。
この仕事でよく言われるのは「見て盗め」だったり「見て覚えろ」と言われます。
先輩や上司に答えを求めても「自分で考えたか?」だったり、「調べてみたのか?」と突き返されるのではないでしょうか?
先輩社員は自分の経験したことを後輩にあまり教えたがりません。答えを見せるのは簡単ですが、「何故その答えに至ったかのプロセスを踏む」事をしなければ成長できないからです。要は「悩み、自信で考え、問題解決力を身につけてほしい」と言う意図が含まれています。
最短で答えをを教えない先輩も優しさの一つですね。
昔は「何故こんな意地悪を。。。」と思いましたが、後輩が出来た今なら分かります。いつまでも最短で答えを求める後輩は問題解決力が身に付かず、大体成長していません・・・
”活躍するサービスエンジニア”は冷や汗をかいた数だけ強くなれる。
装置の整備には過去の修理事例があれば修理まで確実なものになります。しかし、装置の修理が過去の経験や報告事例が無いとなると、現場の人間が持てるリソースを全てつぎ込んで直します。
- 長時間や、徹夜して装置の検証を繰り返す。
- 実際の装置稼働に立ち会い、不具合がないか検証する。
- 持ち込んだ部品を交換しては元に戻すを繰り返し原因を追求する。
- 時にはベテラン社員や上司、他部署の品質保証部や開発を連れてくる。
何をやっても不具合が解消されない事例は確かにあります。しかし、そんな大変な修理が一つ出来ると他の社員の助ける事例になり、自身を大きく成長させてくれます。
「赤ん坊は転んで歩き方を学ぶ」と言います。痛い思いや、辛い思い出、失敗した経験は自身の成長するチャンス。実際に多く失敗してきたベテラン程、社内の評価が高いです。
理想論:”人が経験したスキルを自分のモノにする”ことができれば大きく成長できる。
理想を言えば「一人での現地修理を全て対応すれば多くの経験を身につける事ができる」のですが、現実問題不可能な話。
緊急性が高い修理作業を一人で回るなんてことは顧客が許しません。対応が遅くなり、間違いなくクレームになります。
実務には効率性が求められる仕事ですから、客先に迷惑を掛けずに自身のスキルアップをすることが求められます。
ケーススタディこそ客先に迷惑をかけず、自身のスキルアップができるメソッドなのです!
まとめ
私が6度下っ端から即戦力になる為に実践してきた勉強法”ケーススタディ”について解説しました。
- サービスエンジニアとして活躍するには経験量を増やすに限る。
- 擬似的にサービスエンジニアの経験量を増やすオススメ手法はケーススタディ。
- ケーススタディは同僚の経験を擬似体験する方法。
- 読み方にはコツがあり、流し読みでは意味がない。
- 正解しようが間違えようが得しかない。
私自信”ケーススタディ”と言う名前は知らず、現在の職場の面接時に「職場を転々としている中で、早い段階で一人前になる為にどの様なことをしていますか?」と聞かれました。
「過去の修理データベース」を読み漁り、学習している旨を伝えると「なるほど、君はケーススタディーを習慣化しているのだね」と納得されました。
その場では適当に相槌を打ちましたが、後ほど調べるとこのケーススタディ、ビジネスの場では大きく活用されているメソッドの様です。
実施する意味を理解し、継続すれば間違いなく成長できます。